書籍『WORKSIGHT 20号 記憶と認知症 Memory/Dementia』を出版

Photo by Hiroyuki Takenouchi

自己と他者をつなぐ「記憶」という存在

「自律協働社会のゆくえ」を考えるメディア「WORKSIGHT[ワークサイト]」。第20号「記憶と認知症 Memory/Dementia」を8月25日に刊行しました。

わたしたちには「記憶」があるからこそ、自らの生活を営むことができ、他者から自分であることを認められ、集団のなかで他者と自分との間に大きな物語を描くことができる。そうだとすれば、自分と他者とをつなぐ「記憶」を失った個人に幸せな社会は存在するのでしょうか。集団としての物語はどう紡ぎ続けられるのでしょうか。

本特集は、オランダとフランスでオルタナティブな社会実践を試みる「認知症ケアホーム」「精神疾患デイケアセンター」「美術館収蔵庫」などを取材した本誌編集長の省察と見聞録、ルネサンス期の情報爆発と記憶術を研究する大阪大学の桑木野幸司教授、レバノン内戦の都市の記憶とその傷跡をテーマに音楽作品を制作したベイルートの音楽家・建築史家メイサ・ジャラッドへのインタビュー、記憶をめぐるブックリストを収録。
「記憶」と「認知症」を手がかりに、来るべき社会のための態度や今日的な問いについて思索しました。ぜひご覧ください。

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【目次】

◎記憶をめぐる旅の省察

アムステルダム、ビアリッツ、パリの認知症ケアホーム、在宅ケア企業、美術館収蔵庫、精神疾患ケアセンターを本誌編集長が現地取材。

・ザ・ホーグワイク|認知症居住者が自律協働する「町」
・マフトルド・ヒューバー|ポジティブヘルスという新たな「健康」指標
・エミール|ケアの技法を学生に授けるスタートアップ
・デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン|アート・収蔵庫・市民の記憶
・ヴィラージュ・ランデ・アルツハイマー|認知ケアを社会に開くために
・サントル・ド・ジュール・ラダマン|セーヌに浮かぶ開かれたデイケアセンター

文=山下正太郎(WORKSIGHT編集長)
写真=大谷臣史

◎記憶・知識・位置情報
桑木野幸司・ルネサンス期の「記憶術」が教えること

情報のビッグバンに対峙したルネサンス期の西洋人たちは、 新たな「記憶術」を編み出し、実践していったという。その試みは、 どんな今日的な問いをもたらしてくれるだろう。『記憶術全史』や『ルネサンス 情報革命の時代』の著者・桑木野幸司に尋ねた。

◎記憶をめぐる本棚

記憶が頼りないのならば、記憶をめぐる議論もまた、 手がかりなしには成り立たない。個人と集団をまたぎ、 深遠な哲学とも最先端のテクノロジーともつながる、 そんな、記憶の不思議とともに歩むためのかがり火のようなブックガイド。

◎内戦の記憶・時空を超える音楽
ベイルートの音楽家・建築史家が描く「ホテルの戦い」

2023年3月、ベイルートの音楽レーベルRuptured Recordsから『Marjaa: The Battle Of The Hotels』と題された美しいアルバ ムがリリースされた。つくったのはベイルート出身の音楽家であり建築史家でもあるメイサ・ジャラッド。大学で建築史を学んだ彼女は、 ベイルートで1975年に勃発した内戦の熾烈な戦闘の舞台となった海岸沿いのホテル群について論文を書いた。そして、その論文をもとに、今度は音楽作品をつくりあげた。都市の記憶とその傷痕を、建築という視点から音響を通して辿りなおすという野心的な試みは、いかにして生まれたのか。世界が注目する新鋭音楽家に訊ねた。

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【書籍詳細】
書名:WORKSIGHT[ワークサイト]20号 
   記憶と認知症 Memory/Dementia
編集:WORKSIGHT編集部(ヨコク研究所+黒鳥社)
ISBN:978-4-7615-0926-2
アートディレクション:藤田裕美
発行日:2023年8月25日(金)
発行:コクヨ株式会社
発売:株式会社学芸出版社
判型:A5変型/128頁
定価:1800円+税
購入:https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761509262
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