『YOKOKU Field Notes #02 韓国・勝ち敗けのあわい』刊行記念トークイベント(ゲスト・鳥羽和久氏)〈競争社会を越え、世界に応答するための「アジール」のつくり方〉を開催

『YOKOKU Field Notes #02 韓国・勝ち敗けのあわい』刊行記念として、
教育者・作家の鳥羽和久氏をゲストに迎えたトークイベントを2024年5月8日に開催いたします。
ヨコク研究所からは、リサーチ・執筆を担当した研究員の工藤が登壇します。

参加申込はこちらから:
5/8開催『YFN#02 韓国・勝ち敗けのあわい』刊行記念トークイベント
〈競争社会を越え、世界に応答するための「アジール」のつくり方〉参加申込ページ

競争的な規範と距離を置く韓国各地の「子どものサードプレイス」事例を参照し、自らを作り変えながら他者と協働するための道筋を考える

今日の夕食の献立にはじまり、移動とその方法、学校や職業の選択、共に生きる人や暮らす場所…… 私たちが今日生きる世界は、未だ不完全とはいえ、ひと昔前に比べればずいぶん“自由”に選択可能なものになりました。

ただし、自ら選択できるというその「自律性」は、努力や実績を善とする能力主義に基づいた競争的なシステムと切り離せない関係にあります。ともすれば、あらゆる結果が個人の努力あるいは怠惰の結果と捉えられかねません。
ましてやその選択をするのが子どもなら? 何かを選び取った結果と責任が個人に還元されると分かっていて、それでもなお未来に萎縮しないままでいるのは、大変に難しいことです。

韓国はしばしば、受験教育を筆頭に苛烈な競争社会であるといわれます。それは制度としての画一的な公教育というA面と、これに対する多様な私教育というB面の二つによって生み出されたものです。とはいえそんな韓国社会であればこそ、強固なシステムのあわいで、家とも学校とも塾とも異なる子どものサードプレイスを作ろうとする動きが各地で現れはじめています。

この「アジール(自分を縛るものからの避難場所)」とも呼べる安心できる居場所は、自由と引き換えに終わりのない努力と成果を求められる社会の中で、いま最も求められる場のひとつといえるのではないでしょうか。そして今日の「アジール」的な場とは、果たしてどのようにして作ることが可能でしょうか。

今回は、福岡・唐人町の学習塾〈唐人町寺子屋〉を中心に単位制高校や無時間割授業、哲学対話などのユニークな授業を実践し、大人と子どものあいだに横たわる親密で非対称的な関係を精神分析や文学の視点から思考する、教育者・作家の鳥羽和久さんをゲストにお招きします。

いかに子どもが(そして大人が)自らの人生を引き受け、世界に反応しうるかという実存的な問いに、「アジール」という場の概念を介して取り組むゆるやかなトーク・セッションです。

【〈YOKOKU Field Notes〉とは】

〈YOKOKU FIeld Notes〉は、コクヨが目指す「自律協働社会」の兆しを個別の地域から探索するヨコク研究所のリサーチ活動とそのレポートです。同じ時代を異なる環境条件で生きる人々の中に身を投じ、現地での取材を通じてその営みの断片にふれることで、既存のシステムや規範をかいくぐるオルタナティブな社会のあり方を探り、問い直すことを目的としています。

【こんな方におすすめです】

・既存の社会システムを脱する、自律的かつ協働的な活動事例に関心のある方
・韓国の昨今の社会動向や、近年どのようなローカルプロジェクトが行われているか知りたい方
・企業の研究組織が行っているフィールドリサーチの過程や実態を知りたい、あるいはコラボレーターを求める研究者、クリエイター、編集者、学生
・機会領域を新たに開拓するミッションを持つ、企業の新規事業担当者

もちろん、ご関心をお持ちの方はどなたでもご参加をお待ちしております!

登壇者

鳥羽 和久 Twitter(X)
1976年福岡生まれ。専門は日本文学・精神分析。大学院在学中に、福岡市のランドマーク、大濠公園近くに学習塾を開業。寺子屋ネット福岡代表取締役、「唐人町寺子屋」塾長、及び単位制高校「航空高校唐人町」校長として、小中高生150名余の学習指導に携わる。著書に『親子の手帖 増補版』(鳥影社)、『おやときどきこども』(ナナロク社)、『君は君の人生の主役になれ』(筑摩書房)、『「推し」の文化論』(晶文社)など。連載に西日本新聞、晶文社など。朝日新聞EduA相談員。

工藤 沙希
1991年青森県生まれ。コクヨ ヨコク研究所 研究員。「時間の周回性」「現代私祭」「社縁」「年齢階層」など、社会の”拠りどころ”たりうるものへの関心を軸に、民俗学的な視点でのフィールドリサーチをはじめとする質的な研究とプロトタイピングを中心に取り組む。
関西学院大学大学院社会学研究科 島村恭則研究室(現代民俗学)に所属。

村上 航
大学在学中に「地域おこし協力隊」に着任し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等に携わる。そのなかで出会った農林漁業やものづくりを生業とする人の知恵や語る言葉が強く印象に残り、見聞きしたことを伝える手段としてのデザインに興味を持つ。その後6年間、デザイン事務所で印刷物やWEBなどビジュアルデザインの経験を積む。日々伝えるためのデザインを制作する中で、目の前にある問題だけでなく、顕在化されていない課題にもアプローチしていきたいと考えるようになり、2022年7月ロフトワークに入社。

プログラム

19:00-19:20 『YOKOKU Field Notes #02 韓国・勝ち敗けのあわい』のリサーチを振り返る
・ヨコク研究所の取り組みの全容
・韓国でのフィールドリサーチ事例の解説

19:20-20:30 トークセッション「弔いから考える、家族と会社と社会のゆくえ」
ゲストの鳥羽和久さんと共に、自分を縛るものからの避難場所としての「アジール」という場の概念を通じて「いかに子どもが(そして大人が)自らの人生を引き受け、世界に反応しうるか」という問いを考えるトーク・セッション。参加者のみなさんも自由に発言いただけます。

20:30-21:00 クロージング・交流タイム

開催概要

■ 開催日
2024年5月8日(水)19:00-20:30(18:30開場)

■ 会場
THE CAMPUS | 北館1F COMMONS
〒108-0075 東京都港区港南1丁目8-35
https://maps.app.goo.gl/c9NoCBtBZfVek8Rr9

■ 定員
20名  ※先着順

■ 参加費
現地参加チケット:500円(税込)
現地参加チケット(YFN#02 書籍付き):1,400円(税込)

■ 配信
なし

■ 録画
あり  ※記録映像はチケット購入者限定で2ヶ月間公開いたします。その後一般公開となります。

■ 主催
コクヨ ヨコク研究所、株式会社ロフトワーク

■ ご注意
定員になり次第、受付終了とさせていただきます。
プログラムは、予告なく変更される場合があります。