書籍『WORKSIGHT[ワークサイト]24号 鳥類学 Ornithology』を出版

Photo by Hironori Kim

世界のなかの異世界

「自律協働社会のゆくえ」を考えるメディア「WORKSIGHT[ワークサイト]」。第24号「鳥類学 Ornithology」を8月6日に刊行しました。

古来より人間と多様な関係をもち、神話、芸術、科学などさまざまな分野や文脈で登場してきた「鳥」。研究者や芸術家だけでなく市井の人びとも魅了し、文化や宗教における象徴として、また、観察や研究の対象として重要視されてきました。
そのなかから生まれた動物学の一部門「鳥類学」は、地域社会の人びとのアマチュアリズムも寄与しながら、鳥類に関する実践的な知を紡いできた学問です。最新号ではこの鳥類学を軸に、民俗学、美術史、環境史などのアカデミックな視点から、また、音楽家、獣医、登山家、調香師、ゲームクリエイターなどの多種多様な立場から、自然との共生や、鳥というフィルターを介して再発見される人間社会や都市を捉えました。

長い歴史のなかで鳥は何を象徴し、現代を生きる私たちが鳥類学に触れることは何を意味するのか。今も世界を飛び回る、“未知の知”のネットワークに分け入る特集となっています。

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【目次】

◎The Pillar
スティーブン・ギル 鳥の恩寵

広大な農地の1本の杭に飛来する鳥をセンサーで自動撮影した、スティーブン・ギルの代表作「The Pillar」(杭)。この作品で彼は初めて「自分の“意図”というものを完全に手放すことができた」と語る。そこに現出する、鳥たちの偉大で美しい異世界。

◎巻頭言 さえずり機械

古くから自由や希望の象徴として語られてきた鳥。画家パウル・クレーも鳥に魅了されたひとりだが、20世紀初頭に手がけた『さえずり機械』には、えも言われぬ不穏さが漂う。そこに描かれた鳥たちを通して、現代のわたしたちが再発見するものとは。

文=山下正太郎(WORKSIGHT編集長)

◎野鳥雑記のこと
柳田國男と鳥の民俗学

民俗学者・柳田國男が1940(昭和15)年に上梓した『野鳥雑記』は、遍在する鳥と共にあり続ける、わたしたちの世界の手触りを浮かび上がらせている。現代民俗学・民俗学理論を専門とする島村恭則に、“鳥の民俗学”の豊かな鉱脈について聞いた。

語り手=島村恭則

◎五感の鳥類学
見る:ステファニー・ベイルキー(全米オーデュボン協会)
聴く:コスモ・シェルドレイク(ミュージシャン)
触る:海老沢和荘(横浜小鳥の病院)
嗅ぐ:浅田美希(「インコ香水」調香師)
味わう:服部文祥(サバイバル登山家)

鳥を知る方法はひとつではない。視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚をフル活用する5人の専門家の語り、そしてその鋭敏な感覚から鳥を学ぶ。

◎都会と巣箱
鳥専門の不動産屋「BIRD ESTATE」の歩み

鳥を「入居者」、購入者を「大家」に見立てたユニークな野鳥専門の不動産屋「BIRD ESTATE」。シジュウカラの生態を独学で学び、「賃貸物件」の巣箱をつくりあげたプロデューサー・工藤洋志と、その巣箱に魅了されたバイヤーの山田遊を訪ねた。

◎この営巣配信がすごい!
世界のYouTubeチャンネルが伝えるドラマ

鳥の営巣がYouTube配信されるなか、ウォッチャーのオススメ7選をお届け。ただしあくまで2024年7月15日現在。愛らしい雛の最期や、全滅による配信終了を目撃する可能性も。いま子育てしていない動画は、これから来年にかけてが見頃だ。

◎始原の鳥
世界の始まりと鳥の象徴学

世界が産声をあげるとき、そこには鳥の姿がある。数多の文明・文化圏の図像で存在感を示す鳥は、どれほど豊かな創造性をその両翼にとらえているのか。大著『鳥学大全』共編者で、古今東西のイメージを知悉する西野嘉章に訊ねた。

監修・解説=西野嘉章

◎はばたく本棚
鳥から世界を知る60冊

わたしたちの頭上を行き交い、あたりを睥睨し、ときに空を覆い尽くす鳥たち。その視座に近づき、鳥を知るため、「観察する」「科学する」「哲学する」「文学する」「描く」「調理する」のテーマで全60冊をセレクト。翼なき人間のためのブックガイド。

◎旅行鳩よ、ふたたび
環境史家ドリー・ヨルゲンセンの問い

アメリカの空を無数に羽ばたいていたにもかかわらず、絶滅へ追いやられたリョコウバト。その“復活”を期す人びとが、21世紀に現れた。絶滅をめぐる顚末と、その後の運動の可能性と危うさを、ノルウェーの大学で教鞭をとる環境史家が描き出す。

◎水・鳥・人
中村勇吾の群体論

構造設計から流体力学へと向かったデザイナー中村勇吾の興味は、やがて鳥の群れを操る『GUNTAI』、そして人の群れを導く『HUMANITY』というゲームへといたる。群れを動かすということ、それは「個」と「全体」をめぐる深淵なる探究だった。

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【書籍詳細】
書名:WORKSIGHT[ワークサイト]24号 
   鳥類学 Ornithology
編集:WORKSIGHT編集部(ヨコク研究所+黒鳥社)
ISBN:978-4-7615-0931-6
アートディレクション:藤田裕美(FUJITA LLC.)
発行日:2024年8月9日(金)
発行:コクヨ株式会社
発売:株式会社学芸出版社
判型:A5変型/128頁
定価:1800円+税
購入:https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761509316
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