WORK IN PROGRESS その9|アニメーションの咀嚼方法

ヨコク研究所+MUESUM+吉勝制作所は、予測しえない出来事や偶然性を受け入れながら、目の前の出来事に反応することで新たな思索へと導くような“リサーチ手法のプロトタイピング”を実験・実践しています。ここでは、そのプロセスをご紹介。

鑑賞の多様なかたちをつくる

2回の「音の採集実験」を経て、品川というまちを「音」という見方で眺めるための構え、採集した物から音を奏でる際の特殊な思考回路、その場にいる人たちとともに即興的に音楽を奏でることの喜びを発見することができました。それらの採集物を素材に、打楽器奏者の角銅真実さんが超短編アニメーション映画のためのサウンドトラックをつくり上げます。

仕上がったトラックとアニメーションを合わせて鑑賞したとき、それまで観ていた無音状態の作品とは異なる感触を得ました。登場する住人たちや山のような生き物、微生物といったキャラクターが、アニメーション世界をかたちづくるものたちが、より生き生きと躍動しはじめたように見える。インプットの方法や質、環境を変えることで、このアニメーションをいろいろなとらえ方で咀嚼できるかもしれない。もともと、広く多様な人に作品を観てもらうためのひらき方を模索していた私たちは、その方法として「七連続鑑賞会」を企画しました。

ひとつの作品を、多様な見方・感覚・状況を通して連続鑑賞する。そのプログラムを一緒に考えてもらう仲間として、山フーズの小桧山聡子さん、そして音の採集実験に続いて角銅真実さんにお声かけし、これまでプロジェクトのなかで出てきた「食べるように理解する」「採集する」といったキーワードや、実践方針を伝え、プログラムの一部を担当してもらいました。企画したGRASPメンバーも、自分たちがまずは鑑賞者としてどう楽しめるか、どんな反応をするかを軸に連続鑑賞会の全体像をつくり上げていきました。

アニメーション制作の様子。moogaboogaさんのスタジオにて

ガラス面でレイヤーをつくり、住人の動きを1カットずつつくっていく photo: Katsunobu Yoshida