WORK IN PROGRESS|プロジェクトのはじまり

ヨコク研究所+MUESUM+吉勝制作所は、予測しえない出来事や偶然性を受け入れながら、目の前の出来事に反応することで新たな思索へと導くような“リサーチ手法のプロトタイピング”を実験・実践しています。ここでは、そのプロセスをご紹介。

GRASP前夜

プロジェクトのはじまりは、2022年春。東京・大阪・山形とそれぞれの拠点から、週に1度オンライン上に集うことからスタートします。「ヨコク」「自律協働社会」「自律」「協働」「社会」などの言葉を手がかりに、そもそもこれらの言葉が何を意味しているのか、どんな事象と紐づけることができるか、文献調査はもちろん、プロジェクトメンバーの実体験に基づくエピソードを交え、議論を重ねていきました。

ここで大切にしていたことは、手っ取り早く“答え”にたどり着くような、効率的で直線的な議論にならないようにすること。なんの役に立つかはわからないけれどヒントがあるかもしれない“断片”を拾い集めることに可能性を見出し、議論を進めていきました。

実際、一見脱線したかのようにも思える「ぜんぜん関係ないんですけど……」からはじまる余談(カマキリの卵と積雪量の関係、おばあちゃんの物知り帳、フリスビーの本質とは?、などなど)は、私たちの議論をひょいと飛躍させ、新たな思索へと導いてくれました。

春から数えて約5カ月。「それって、こういうこと?」と反応しあう15回の会合を通じ、私たちのなかに「もしかしたら、この道のりは、“リサーチ手法のプロトタイピング”の実験・実践なのかも?」とひとつの仮説が浮かんできました。

その2へつづく

Photo: Katsunobu Yoshida
Animation: GRASP+moogabooga